メガネと眼の使い方・見方で 健康と能力をサポートする

東京オリンピック

7月から始まった東京オリンピック
~パラリンピックが
9月5日、幕を閉じました。

当店の代表(田村)は
2010年から2014年まで
JOC日本オリンピック委員会
「ナショナルコーチアカデミー
 医・科学サポート論」にて
講義を担当していました。

また、長年、日本代表選手候補の
眼のケアサポートを行ってきましたが
東京開催が決まった後は特に
検査やアドバイスの機会が増えました。

コーチアカデミー眼の講義を
受講された数名が
今大会の監督コーチとして参加。

関わった選手のうち9名が
今大会の日本代表に選ばれました。
  3種目でメダル獲得
  (金)1(銀)1(銅)1

パフォーマンス発揮には
身体、心、技術など多くの要素があり、
眼の影響は僅かである場合もあります。
しかし時に、大きなヒントや
気付きをもたらし、
向上の分岐点になることもあります。

引き続き、スポーツ選手をはじめ
さまざまな分野で
能力の向上を目指す方々に
「眼の使い方 見方」の観点から、
アドバイスやメガネの提案を
行っていきますので
よろしくお願いいたします。

スポーツビジョン検査

車に乗るときタイヤの空気が抜けているのでは、
運転技術が高いドライバーでも上手く走ることはできません。
当センターのスポーツビジョンは、例えるなら、車体の整備を
して、その上でドライバーの技を高めるような方法です。
整備とテクニックは、相乗効果の部分もありますので、
どちらか一方を触ったら一緒に高まる場合もあります。

マニュアルはありませんが、眼や体の感覚で
「こういう感じだろうか」と気付いてもらえるよう、
様々な方法を使いお伝えします。
 
 眼と体の安定
 眼の錯覚による身体の変化
 眼に映らないものから見えてくるもの
頭の理解ではなく実感できる方法を用い
アドバイスしていきます。


ビジョンメンタルチャート
物の見方には、一点に集中する使い方や、広く浅く見る
使い方などがあります。どちらかが得意であったり苦手で
あったりは人によって様々です。機能そのものがそうで
あったり、意識によって作り上げられている場合もあります。

スポーツや仕事内容によって適切な能力は違ってきますが、
個々の場面で能力が発揮できるように、自分の見方の特性を
知り、より高いパフォーマンスにつなげるために、
外の眼と内の眼の関係性を図式化した、視覚情報センター
オリジナルのチャートを作成してアドバイスします。
一点集中か分散か、注意力の巾が広いか、狭く集中するのか、
主観的、客観的どちらの見方かなど、どのタイプが良い悪い
というのではなく、自分の特性を知るためのものです。

チャートの例

この例では、外の眼は絞り込んだ狭い集中ができています。
しかし内の眼(見る意識)は眼の前の現象から離れていく
傾向があります。

ポジションによっては、この見方だからこそ高いパフォー
マンスにつながっていることもありますし、逆に、集中を
欠いたミスにつながりやすいという欠点として現れていたりと、
一概に良し悪しは決まっていません。パフォーマンスや日常
生活の中で問題点がある場合には、眼から改善を目指します。



基礎視覚能力
静止視力/瞬間視/利き目/調節力
両眼視機能(輻輳・開散力・眼位)など

眼球運動

ただ眼が動くのではなく、内面と身体を伴なって、
統合した動きができているか。
時には、眼を動かさないで見る見方も必要なので、
両方ができるかどうか、などを含めた眼の動きを調べます。

応用視覚検査

 周辺視での反応/中心視での判断反応/
 瞬間視/追跡視/など

主に、眼で見て身体を反応させる反応テストになります。
一般によく知らていて、スポーツビジョンというものの
イメージが強いのがこの部分かもしれません。
ゲーム的な要素もあるので、メディア受けも良いようで、
いかにも眼の能力を高めるかのような情報を流しがちです。

何度も書きますが、これはあくまでも反応テストであって、
この数値が高いことと、パフォーマンスの高さはイコール
ではありません。

両眼視機能をはじめ視覚能力の基礎に対するアドバイスと、
身体と心とのつながりに対するアドバイスがあるかどうかを
基準に、スポーツビジョンやビジョントレーニングを
受けるようにしてください。

スポーツビジョン現状

スポーツビジョン能力測定が知られつつありますが、
機器を使った検査で数値を出し良い悪いを判断する
健康診断ようなものが目立つのが現状です。
数値のための測定では何の意味もありません。
同時に、能力測定がスポーツビジョンではありません。

トレーニングもありますが、リハビリ的なものが多く、
個々の見方の癖や、眼の状態に適合しない内容を
やみくもに行っているのも目立ちます。

視覚を物差しに、メンタルやテクニック、フィジカルなどを
分析判断し、パフォーマンスの向上に生かしたり 改善の
アドバイスにつなげることが重要です。

例えばテニスの場合、眼の使い方でレイトヒットの修正ができたり、
非力な人でもオーバスピンが打てたりすることがあるのです。
野球で言えば、肩の開きが早い投手を眼の使い方で改善する
こともできます。

指導者の理解

個人がビジョン能力を高めることは大事なことです。
しかし指導者の理解がないことには、より高い効果に
つながりません。指導者が眼を理解することによって、 
個々の選手の観方(心)の違いや、試合での起用の仕方、
より効果的な指導方法を知る1つの材料になります。

例えば、プレッシャーで内の眼がどんどん集中していく
選手に、「集中しろ」という声のかけかたは逆効果に
なりかねません。逆に、内の眼が分散していく選手には、
どのような指導をしたら良いか。 
現場にいる指導者が、実践者であり開発者でもあります。 
より多くの方が、視覚を理解し現場のレベルアップの
物差しに使っていただきたいと思います。
指導者の「みる」ことへの理解は、個々の特性を活かした
深みのある指導につながるでしょう。

眼と身体脳~イチロー選手の眼~

世界の頂点に立ったイチロー選手。
活躍の秘密として、眼の良さが注目されました。
私がビジョントレーナーとしてオリックス時代の
イチロー選手に接した7年間から言えることは、
間違いなく優れた眼の持ち主であるということです。
しかし「優れた眼」というのは、一般に知られている
動体視力計や視力表を使った検査で高い数値を示す
ということではありません。現に皆さんが知るところの
一般的な視力検査では、イチロー選手の値はスポーツ
選手の中では低い数値です。また、瞬間視や周辺視
といった検査の値が突出しているわけでもありません。
これらは全て ”観ること” のほんの一部分に過ぎません。

では何故ボールが見えて、あんなに多くのヒットが
打てるのでしょうか?
それは部分の分析では説明できないもので、
外から見えない内面からくる「見る力」があるからです。
分かりにくいかもしれませんが、イチロー選手のコメントから
それを少しは感じ取ることが出来るのではないでしょうか。

打撃は、ボールを打つ瞬間に生じる狂いを調整するための
体の使いかたがすべて。 
そしてその誤差を修正するセンサーを持つことこそが大事 
 イチロー選手のコメントより

このコメントは、眼からの情報を取得し、
それを身体の動きとして出力するまでの一連の流れの中、
いわゆる「視力」とは違った次元の「観る世界」が
あることを示唆しています。

彼の様々なコメントを見直してみると、日常生活全てが
違った次元から観るための ”センサーを磨くこと” に
つながっているのを感じることが出来るはずです。

このようなセンサーを作ることを頭脳から身体脳への著者、
宇城憲治氏は「身体脳の開発」と表現しています。

大切なのは、部分にとらわるのではなく身体脳につながる
眼の使い方を目指すこと。それが人の才能を開花させる
最善の方法であり一番の近道だと思います。

スポーツビジョンと武術

スポーツビジョンとは、視覚を主体にした入力回路を分析、
改善し スポーツパフォーマンスの向上に役立たせる分野です。
 
現在、一般に紹介されているスポーツビジョンの考え方は
アメリカが 発祥です。 1960年代にオプトメトリスト
(屈折検査専門眼科医) を中心に 研究がはじまりました。

視覚情報センターでは、日本ではまだこの分野があまり
知られていない1980年頃から独自の方法で始めました。
当初アメリカ的な考えや器具も取り入れましたが、

1990年頃からイチロー選手をはじめ、各スポーツの
トップアスリートの眼と関わる中で、現在は、日本に
昔からあるものの中に、「みる力」を鍛えるものが
既に存在していた、という考えに至っています。

2000年頃に、宇城憲治師範の技や「眼」に出会ったことで、
この考えに一層確信を持ちました。身体運動を伴った究極の
目は、日本伝統の武術に凝縮されていることを知りました。
宇城師範が能力を高めるための方法は、これらの選手を
はるかに超えた次元のものです。師範に指導を仰いだ
野球やサッカーなどのトッププレーヤーが身体の使い方を
わずか指導されただけで "ボールや相手が見える" 
と驚きます。これは武術から得た「観る」ことが
全てのスポーツに通じる ことを示しています


あらためて武術を見てみると、あらゆる秘伝書の中に
必ずといっていいほど「目付け」つまり目の使い方が
書かれています。有名なものでは、宮本武蔵の
「観の目強く 見の目弱く」があります。

アメリカ的な発想では、部分の分析から入りスポーツと目の
関係を紐解いていきますが、武術では身体動作や心の在り方
(心・技・体)を磨く中に視覚の向上があるというように、
常に全体を見ながら部分を見ます。そのため「見える」ための
身体動作や心、技がきくための眼、具体的に言えば、動くものが
止まって見えるとか スローモーションのように見える眼を持つための、
学ぶプロセス(身体脳開発:宇城師範言)があります。
武術で作られた目が優れているのは、生死をかけた中から見出され、
何百年もかけて歴史の中で検証されてきたものだからです。

野球のバッターでボールが止まっているように見えたり、
他の球技でもボールやシャトル、パックなどが
スローモーションのように 見たというようなことを、
高いレベルでスポーツをしている人達は経験していると思います。
ただしそれは偶然の中で起こったことのため再現性がありません。
常に普遍的に見えるようにするためのプロセスを歩まなければ、
身に付くことはないでしょう。

1歩目を間違って高い山に登ることは不可能です。
スポーツビジョンの目指す頂上は、武術の目といって良いと思います。
詳しくは師範の著書 【武術空手への道】【頭脳から身体脳へ】など

では、どのようなトレーニングをすると良いのか
誰もが知りたいところでしょう。しかし残念なことに、
ビデオや外形や文章では伝わりません。
武術の伝書の言葉を読めば分るように、具体的な表現はありません。
とても抽象的な表現ばかりです。文章で足りないものは、口伝といって
秘伝にすることもあるのでしょう。こうして一触による指導がされています。

師範がよく言われる言葉にも
「百聞は一見に如かず百見は一触に如かず」
がありますスポーツビジョンやビジョントレーニングも
同じではないかと思います。このトレーニングを1日
何回やりなさい、というマニュアル的な方法では
質の高い眼にはなりません。もちろん部分の強化が
必要な場合もあり、両眼視機能を整えるための
トレーニングをしたり、メガネを使うこともありますが、
全体を見ながらの部分という認識が必要です。

いくら機能がそろっても、身体と心が伴っていないことには
現実の生活では活かせません。また、読んだり人伝に聞いたり
したことではなく、実際にそれが出来る人に教わることが一番です。

視覚情報センターのスポーツビジョンは、
こうした考え方を基に検査アドバイスを行いますので、
一度では分かりにくい部分もありますが、定期的に
やりとりすることで理解を深めてもらえるのではと思っています。