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スポーツビジョンと武術

 スポーツビジョンとは、視覚を主体にした入力回路を分析、改善してスポーツパフォーマンスの向上に役立たせる分野です。 現在一般に紹介されているスポーツビジョンの考え方はアメリカが始まりです。 1960年代にオプトメトリスト(屈折検査専門眼科医) を中心に研究がはじまりました。

 視覚情報センターでは、1980年から独自の方法で始まり、アメリカ的な考えも含めて現在に至っていますこの間、イチロー選手をはじめ、格闘家、武術家など、多くのトップアスリートの眼を見てきましたが、数年前に宇城憲治師範の技や「眼」を見て身体運動を伴った究極の目の使い方は日本伝統の武術に凝縮されていることを知りました宇城師範の目の使い方と、目の能力を高めるための方法は、これらの選手をはるかに超えた次元のものです。そして、スポーツビジョンの歴史の重さや質の高さは実は日本にあったのだと確信を得たのです

 宇城師範は60歳を越えられていますが20歳代現役アジア大会の金メダリストや若い格闘選手も全く歯がたちません。師範の眼には相手の拳がスローモーションのように見えるそうです誰もがすぐにそのような見方になるわけではありませんが宇城師範に指導を仰いだ野球やサッカーやアメフトなどのトッププレーヤーが身体の使い方をわずか指導されただけで"ボールが見えるようになった"と驚きます。これは武術から得た「観る」ことが全てのスポーツに通じることを示しています

 あらためて武術を見てみると、あらゆる秘伝書の中に必ずといっていいほど目付けつまり目の使い方が書かれています。有名なものでは、宮本武蔵の「観の目強く 見の目弱く」があります

アメリカ的な発想では、部分の分析から入りスポーツと目の関係を紐解いていきますが武術では身体動作や心の在り方(心・技・体)を磨く中に視覚の向上があるというように常に全体を見ながら部分を見ます。そのため「見える」ための身体動作や心技がきくための眼、具体的に言えば、動くものが止まって見えるとか スローモーションのように見える眼を持つための、学ぶプロセス(身体脳開発宇城師範言)があります武術で作られた目が優れているのは、生死をかけた中から見出され何百年もかけて歴史の中で検証されてきたものだからです


 野球のバッターでボールが止まっているように見えたりアイスホッケーのゴールキーパーでパックがスローモーションのように見たというようなことを高いレベルでスポーツをしている人達は、1度や2度は経験していると思いますただしそれは偶然の中で起こったことのため再現性がありません常に普遍的に見えるようにするためのプロセスを歩まなければ、身に付くことはないでしょう

1歩目を間違って高い山に登ることは不可能です
スポーツビジョンの目指す頂上は、武術の目といって良いと思います
詳しくは師範の著書 【武術空手への道】【頭脳から身体脳へ】など   どう出版)をご覧ください。

 では、どのようなトレーニングをすると良いのか誰もが知りたいところですが、残念なことにビデオや外形や文章では伝わりません武術の伝書の言葉を読めば分るように具体的な表現はありませんとても抽象的な表現ばかりです文章で足りないものは、口伝といって秘伝にすることもあるのでしょうこうして一触による指導がされています。師範がよく言われる言葉にも 「百聞は一見に如かず百見は一触に如かず」 があります

 スポーツビジョンやビジョントレーニングも同じではないかと思います。このトレーニングを1日何回やりなさいというマニュアル的な方法では質の高い眼にはなりませんもちろん、部分のトレーニングが必要な場合もあり、両眼視機能を整えるためのトレーニングをしたり、メガネを使うこともありますが、全体を見ながらの部分という認識が必要です


いくら機能がそろっても、身体と心が伴っていないことには現実の生活では活かせませんまた、読んだり人伝に聞いたりしたことではなく実際にそれが出来る人に教わることが大切です。こうしたことから「使える眼」になるための方法は武術の中にあると確信しています

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