世界の頂点に立ったイチロー選手。
活躍の秘密として、眼の良さが注目されました。
私がビジョントレーナーとしてオリックス時代の
イチロー選手に接した7年間から言えることは、
間違いなく優れた眼の持ち主であるということです。
しかし「優れた眼」というのは、一般に知られている
動体視力計や視力表を使った検査で高い数値を示す
ということではありません。現に皆さんが知るところの
一般的な視力検査では、イチロー選手の値はスポーツ
選手の中では低い数値です。また、瞬間視や周辺視
といった検査の値が突出しているわけでもありません。
これらは全て ”観ること” のほんの一部分に過ぎません。
では何故ボールが見えて、あんなに多くのヒットが
打てるのでしょうか?
それは部分の分析では説明できないもので、
外から見えない内面からくる「見る力」があるからです。
分かりにくいかもしれませんが、イチロー選手のコメントから
それを少しは感じ取ることが出来るのではないでしょうか。
打撃は、ボールを打つ瞬間に生じる狂いを調整するための
体の使いかたがすべて。
そしてその誤差を修正するセンサーを持つことこそが大事
イチロー選手のコメントより
このコメントは、眼からの情報を取得し、
それを身体の動きとして出力するまでの一連の流れの中、
いわゆる「視力」とは違った次元の「観る世界」が
あることを示唆しています。
彼の様々なコメントを見直してみると、日常生活全てが
違った次元から観るための ”センサーを磨くこと” に
つながっているのを感じることが出来るはずです。
このようなセンサーを作ることを頭脳から身体脳への著者、
宇城憲治氏は「身体脳の開発」と表現しています。
大切なのは、部分にとらわるのではなく身体脳につながる
眼の使い方を目指すこと。それが人の才能を開花させる
最善の方法であり一番の近道だと思います。