現在の生活環境は、幼児の頃から勉強やテレビ、 パソコン、スマホ、タブレットなど、平面の中での 眼使いがほとんどです。 テレビで山を背景にした人物の映像を見ても、 眼の焦点は画面に固定されたままです。 現実の世界は、自分の意思を伴い、山や人物に 焦点を移したり、周りの状況を把握したり、 三次元的な目の運動が必要です。 現在の視覚環境では、人間が本来備えている 空間認識能力がどんどん低下しています。 これは、日常生活の中でのケガや事故といった 生命の危険性にも関わります。 IT化される前の時代の子供は、 眼の能力が身に付くチャンスに恵まれていました。 石ころのある河原を走り回ったり、コマやビー玉、 竹馬など、視覚機能と身体が一致するような遊びが 自然と行われていました。スポーツも、あえて どこかに通わなくても、公園などでボール遊びを することができました。 しかし現代は、それが難しい環境です。 子供にとっては、身体と結びついた視覚能力を 身に付けるには厳しい時代と言えます。 「周りが見える眼」「奥行きを感じる眼」 「見えない物が見える眼」などは 社会性のある眼と言えます。このような視覚能力を 身につけるために 球技は最適なものの一つだと思います。 昔からある行儀作法もそのひとつでしょう。 野球やサッカーの球技だけではなく、身体を動かす ことに参加するのは、眼の能力を高めるひとつです。 スポーツをしている人すべてが、一流選手になれる わけではありませんが、スポーツを通じて、物の見方や 眼の使い方を身につけることは、今の社会環境を見ると とても大切なことだと思います。