2021年12月 高校野球向けオンラインセミナー
(講師) 視覚情報センター 田村 知則
ご聴講いただいた皆様、ありがとうございました。
セミナー後に寄せられたご質問の中に、
他の方にも参考になる内容がありましたので、
回答とともに掲載させていただきます。
Q1:スマホを使う時、スマホと目の距離は
どのくらいにすればいいでしょうか?
A1:見え方や姿勢に無理がない範囲で、
出来る限り離れた距離で見てください。
セミナー中お伝えした、見るための2種類の
筋肉は、距離が近くなればなるほど
緊張が高まり、眼や身体の疲労、
近視進行などに影響します。
手元の距離(10cm~50cm)はすべて
緊張が高まりますが、少しでも
離れたほうが良いでしょう。
そして、スマホを持つ位置ですが、
顔と正対せずにやや低い位置に持ち、
眼球を下に向けて見ることもおすすめします。
手元を見るときは眼球を下に向け
遠くを見るときは正面に眼を向け
上から下に目線を移動することで、
姿勢にも良い影響があります。
Q2:メガネとコンタクトでは
どちらが目が疲れませんか?
A2:疲れの種類や、視力矯正の度数設定次第で
一概にどちらとは言えません。
遠くがクリアに見えるように矯正しているものは、
どちらも近見時の筋肉疲労が強くなります。
近視の人の多くが、手元を見るときは
視力矯正をしない(裸眼の)ほうが
ピント合わせのストレスが減ります。
近視の度数にもよりますが、
裸眼で手元の距離に合う眼なら
近くを見るときメガネをすぐ外すことが
可能なため、疲労が少ないかもしれません。
また、メガネには両眼の向きを整える
プリズム度数を仕組むことができます。
特に手元の距離を見るときのストレスを
軽減した度数であれば疲労は少ないと言えます。
しかし、こうしたことを考慮して作る眼鏡店が
少ないため、疲労感は同等の場合が多いでしょう。
コンタクトレンズは、
メガネに抵抗がある人の精神面のストレスや、
鼻の上の重さ軽減、視野の広さという面での
良さがあり、そこから来る疲労感でしたら
メガネより疲れにくいと言えます。
どちらにも長所と欠点があります。
その矯正道具が
「何を目的に度数を合わせたものか」
が非常に重要となります。
ご自身の目が疲れやすいため、
ご質問をいただいたのでしょうか。
一般論としては、上記の通りですが、
ご自身が疲労を感じているのでしたら、
メガネ、コンタクトそれぞれ何をしたとき
目のどこが疲れるのかといった状況や経緯、
身体感覚を少し深く探ってみてください。
どちらが疲れにくいかはその結果次第です。
Q3:目の中に虫みたいなのが浮いて
見える病気を持っています。
これって治す方法とかありますか?
A3:こちらは眼科ではないので
病気に対する回答はできません。
一般的によくあるのは、眼球の中の
浮遊物が光線の具合によってチラチラ見える
飛蚊症(症状)と言われることが多いようです。
気になるようでしたら、そして急に数が増えたり
大きくなったりした場合は眼科を受診してください。
Q4:目が茶色い人は将来的に目が悪くなると
聞いたのですが本当ですか?
A4:こちらの知る限りでは
そういった傾向はありません。
Q5:眼の筋肉の使い方に慣れ、可視範囲を
広げる為に使っていた透明の板に書いてある
数字の四角は何cm四方の長方形でしょうか。
A5:目標物間の距離 目安
上下≒30cm/左右≒40cm /斜め≒50cm
(注)全体のサイズは重要ではありません。
様々なトレーニングが流行っています。
グッズを使いマニュアル的なトレーニングを
行うのも悪くはありませんが、
共通して言えることは、何のために行うのか、
どのような仕組みで能力が高まるのかを
理解して行うことが大切です。
そうすることで自ら工夫ができるようになり、
深い思考が身に付きます。
セミナーでお伝えした「日常がトレーニング」
ということを念頭に置いて取り組んでください。
Q6:少し左に顔を倒していた方が
真っ直ぐ立っているより楽です。
でもそれはバランスが悪いと思うのですが、
気にした方がいいですか?
A6:左右の目線の高さのずれが
出ているかもしれません。
セミナーで体験してもらった
高さのずれチェックはいかがでしたか?
体の傾きから目線がずれる場合と
目線のずれから体が傾く場合、
どちらが起因となっているかで
修正方法も違ってきます。
野球や学習における課題プレースタイルと
照らし合わせることで、気にしたほうが
よいかどうかの判断がつきます。
眼と体、両面からアプローチできる
トレーナーや整体師が身近にいれば
相談してみてください。
眼については大阪に来られる機会があれば
ご相談ください。
まずはバッティングやピッチングの構え、
フォームの問題、傾きによる結果(成績)
学習の姿勢と集中力など、自分の状態を
観察してみてください。
Q7:眼が原因と成って、あんなに多くの症状が
出る事を初めて知りました。眼球を動かすには、
上直筋、下直筋、内直筋、外直筋、上斜筋そして
下斜筋の6つが働いている事が分かりました。
眼窩底骨折をする事に因って上記の6つが
強ばったりする事はありますか?
もし、あればそれは時間と共に解れますか?
A7:眼窩底骨折による外眼筋の強張りや
使い方の変化はよく起こります。
目線のずれ(上下・左右)が発生することも
あります。当店でも何例か対応していますが、
時間とともに元に戻る場合と戻らない場合
両方あります。
ずれの向きが安定しているなら、両眼視機能を
整えるメガネ(両眼の向きを整えるプリズム度数)
によって能力を高めることができます。
Q8:視力がDで両目体操をして
Aに戻ることはあるんですか?
A8:両目体操とは、寄せ運動、眼球運動、
どの動きのことでしょうか?
>寄せ運動
両眼の向きがあまりに外れている場合は
運動すると視力が上がる場合があります。
眼のタイプによっては低下することもあります。
視力がDでしたら、近くを見る力が強い可能性が
ありますので、寄せ運動をし過ぎるのは要注意。
遠くへ向ける運動(寄せ運動と反対)のほうが
効果的かもしれません。
>眼球運動
視力低下の原因が、眼の動きの固さから
来ているのであれば、緊張がほぐれて
視力が出やすくなることがあります。
どちらにしても、視力低下の要素は
他に重要なものがあります。
詳しく眼を調べないと何とも言えないため、
このような回答になります。
※ 2019年の視力調査では
高校生67%が0.9以下、56%が0.6以下です。
視力は気になるところだと思いますが、
セミナーでお伝えしました眼の使い方
見方をキーワードに、学習や野球で
「みる」力の向上を目指してください。
Q9:自分は乱視で、左目と右目の視力の差が
大きいです。他校の方も言ってらっしゃいまし
たが、ボールとの距離感覚がつかみづらいの
ですがどうすれば良いのでしょうか。
A9:視力差は最終的に起こった現象です。
もともと手元の近い距離で目標物に
両目をそろえて向けることが苦手だったと
推測されます。
片目主体で近くを見ていると、そちらの眼が
先に視力が落ちる傾向があります。
片目があまりに落ちてくると追従して
もう片方も落ちてくる、というパターンを
繰り返します。そして、視力低下した眼に
メガネやコンタクトで矯正すると、
また近くを見るのが得意な方の眼を酷使し
視力低下をし、左右差が大きくなります。
差が起こったという現象を修正すると同時に、
差が出る目の使い方を変えることが重要です。
根本の修正をすることが、距離感(立体感、
奥行き感)を高めることにつながります。
そして乱視ということですが、セミナーで
お伝えしたように、乱視も最終的に起こった
現象です。視力差と同じ、そうなるような
眼の使い方をしていると考えてください。
乱視を起こすひとつに、角膜の形の偏りが
あります。眼の動かし方に偏りがあるとか、
寄せる力が強いといった眼の癖の問題です。
距離感をつかみやすくするには、
見方のスタイルを改善する必要があります。
こちらでよく提案することは、
◆見方を整える仕組みが入ったメガネの使用、
◆ブロックストリングというグッズを使い
両眼を協調させるトレーニングです。
現場で簡単に試してみることとしては
◆ボールを強く見過ぎない睨まないことです。
どうすればよいかは、個人の目を見ないと
何とも言えません。この回答の中に少しでも
ヒントになることがあれば幸いです。
以上
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